激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「でも本当に美優には申しわけなかったんだけどさ。美優も良い人と出会えたみたいだしなんだか安心したよ」
「……それ、貴方が言わないで」

「だってさ。僕が穂乃花さんを選んじゃったら、美優はこの先どうなるんだろうってずっと心配で」
 殴ってやろうと決意した。

 オーナーとの話し合いのあと、殴って罵って憎んでやろうと思った。
 オーナーに紙袋を渡すと、彼は何も用意していなかったのでわたわたしていた。

「半額持つよ。いくら?」

 財布からお札を取り出そうとしていたので、首を振る。

「あれは私からオーナーへの謝罪なの。二人からではないよ」

 私の言葉に、優希は怒らない。怒る立場ではないと分かっているからだろうけど、歯を食いしばっていた。

「つい数週間前まで好きだった人をこれ以上憎みたくないから、もう私に関わらないでね」

 いつから浮気していたとか、姉にも触れて私にも触れていた期間とか、姉を選んだ理由なんて知りたくない。
 すんと落ちるように優希への愛情がなくなったので、そのまま完全に忘れてしまいたい。
 涙なんて浮かんでこなかった。
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