激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「ハイビスカスのアロマキャンドル。俺の停まっていたホテルの部屋の香り。ホテルのオーナーに聞いて取り寄せた」
「へえ」
「あの日を思い出してもらおうかなと」
宇柳さんの考えが分かってしまって、乙女思考なそれが少し可愛いと思ってしまった。
けれど、視線から感じる熱は嘘じゃないように感じた。
だからだろうか。引き寄せられても抵抗なんてできない。あっという間に胸に顔を埋めて、彼の香りを大きく吸い込んでしまった。
忘れるわけない。この香りも、この体温も、あの日の優しい貴方の全て。
「俺の五感を奪うような、絶対に忘れられないような、――そんな極上の香りを作ってほしい」
引き寄せられたのは私のほうなのに、彼がいつの間にか縋るように私の首元に顔を埋めていた。
「――私にもう忘れられたくないんですか?」
「当たり前だ」
間髪入れずにそう答える。埋めていた顔を少しだけ上げてそう言った後首に吸い付かれてしまった。
「ひゃっんっ」
忘れられたくないと、痕を付けようとしている。甘い声が漏れてしまった。
忘れるわけないのに。
あの日、私を救ってくれたのも、全て立ち直らせてくれたのも、貴方なのだから。