激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「大丈夫です。素敵な庭を見れただけで気晴らしになりましたので」

「最近、どこからか犬が迷い込んでいるらしくてチェックしてるんだ。一度迷い込んだら犬も出口が分からないだろ」
「犬ですか」

静まり返った庭の中、ライトアップされた木々は淡く光り輝いて綺麗だった。隣から漂う彼の香りの方が、甘く酔ってしまいそうだった。自分から、肩に寄りかかり首筋の香りを思い切り堪能したいと、変態みたいな思考が襲ってきた。

「で、色々面倒ならいつうちに住む?」
「まるで挨拶みたいに驚くようなこと言わないでください」
「――あ、これ俺の家の合鍵」
「聞いてるの?」

「色々理由や言い訳を考えている理屈っぽさは聞かないことにしている」

 本当にキーケースから合鍵を取り出そうとしたので、じりじりと距離を取って逃げてみた。

「横暴!」
「美優の気持ちを待ってやってたら、俺がダンディなおじいちゃんになってしまうだろ」

……なればいいんじゃないの。ダンディなおじいちゃんに。
ソレの方が格好いいかもしれない。

「住むだろ? 俺の家」
「住むわけないです!」
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