激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
この人のペースに呑み込まれるわけにはいかない。
「ずっと離れていたせいか、一日でも早く一緒に居たいし距離も縮めたい。奥に書斎という名の使っていない部屋もある。だが寝室は絶対別にはしない」
「勝手に話を決めないで」
普段、強引でぐいぐい来るのに、なんだか子供っぽい言葉に戸惑う。
私……家ではボロボロのジャージにお団子ヘアに眼鏡、と女子力をフルスイングで宇宙の遥か彼方に飛ばしてしまったような格好だし。
「また、ごちゃごちゃ頭の中で何か考えてるだろ」
「別に」
「一緒に居たい、居たくない、で考えたらどうだ? ――美優」
絶対に彼は分かってる。
私が自分で自分にルールを決めて、ここで動けなくなっていること。
宇柳さんのことは良い人だと思っているし、助けてもらっているし。
あの日の香りも、彼自身の香りも、そして真っすぐに気持ちを伝えてくれていることも惹かれているのは分かっていると思う。