白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「嘘ですよ、あなたが悪いことなんてするはずありませんしね。すみません。こんなことをしてしまうくらいには、私もここであなたに会えて、はしゃいでいるみたいです」

 先ほどの自分の言葉を逆手に取られた気がして、少しむっとすると、琥白さんは、

「……もしかして、キスするのいやでした?」

 と訝し気に低い声で聞いてきた。
 私はその声に弾かれるように慌てて首を横に振る。

「……そ、そんなことあるわけありません。私は琥白さんが好きですから。ただ、少し驚いただけです」
「ならよかった」

 琥白さんは微笑むと、私を見つめて続ける。「できれば今夜、私の部屋に来てほしいのですが」

「……だ、だめです」

 その言葉に私はまた首を横に振った。
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