白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「なぜ目をそらすんだ」
「別に、そらしてなんてないです」

 大ウソをついてまた目をそらすと、琥白さんはクスクス笑って唇を撫でる。

 そういうの、やけに恥ずかしくなるから辞めて欲しい。そう思ってても琥白さんはやめてくれはしないし、むしろ恥ずかしいと思うことから優先してしてくる気がしていた。

「唇噛んじゃだめだろ。昨日の事でも思い出してた?」
「そんなことっ……んんっ!」

 抗議の声は琥白さんの唇に阻まれる。

 そのまま、琥白さんはするりと舌を差し入れて、口内を余すことなく貪っていく。
 そんなことをされれば、嫌でも昨日のことを何度も頭の中で反芻してしまうのだ。

「ふぁっ……だめっ」
「その声聞いてたら、止められなくなるな」

(私のせいなの⁉)

 慌てて声を止めたのに、琥白さんはそのまま、唇から首筋へ、首筋から鎖骨へ、と唇を下ろしていった。
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