白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 私がじっと琥白さんを見ると、琥白さんはそれに気づき、少し恥ずかしそうにカヌレを手に取って私に見せる。

「ほら、ふたばはもっと太ったほうがいいから、たくさん食え。それに、カヌレはフランス菓子だろ?」
「……そうです。確かボルドーのお菓子だったと思います」

 私が言うと、琥白さんが少し驚いた顔をして、
「……パリじゃないのか?」
と残念そうに呟く。

(パリのお菓子だと私が喜ぶと思って買ってきてくれたのだろうか?)

「フランスはフランスですし……パリにも売ってました。私、カヌレ好きですよ?」

と琥白さんを見て笑った。
 琥白さんはそれを聞いてほっとしたように息を吐いて微笑む。

「よかった」

 その笑顔に、なんだか胸がぎゅうっとなる。
 でも、どうしていいかわからなくて、私は目をそらして口を開く。

「琥白さん、私を餌付けしようとしてませんか?」

 私が意地悪く言うと、琥白さんは苦笑して、

「食い物でふたばが餌付けられるなら、店ごと買い占めるよ」

 さらりと恐ろしげなことを言った。

「それだけはやめてくださいよっ!」
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