白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 叔父さんは、いつもいつもこうだ。
 すっかり慣れていたと思っていたけど、琥白さんと婚約してからまたこういうことをあからさまに言われることが増えた。

 でも、私は昔から、この件に関しては言い返さないと決めていた。
 だって、言っても言わなくても、叔父さんの目に映っている現実は何も変わらないのだから。それなら何も言わないほうが、無駄な体力も精神力も消耗しなくて済む。

 私は「失礼します」と低い声で言うと、そのまま電話を切った。

 この天橋家は昔も今も……変わらない。
 兄が突然行方をくらませたことに、私が兄を責める気にならなかったのは、こういうところもあるのだ。
< 33 / 232 >

この作品をシェア

pagetop