白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 場の空気が凍ったのを感じて、私は握られている手を握り返して琥白さんを見た。

「琥白さん!」
「なに?」

 琥白さんは低い声のまま返してくる。

「食事、すっごく楽しみです。行きましょう! 社長、申し訳ありません。ここで失礼します」
「あ、あぁ」

 放心する叔父さんを前に、私は琥白さんの手を無理やり引いて歩き出した。
 琥白さんも、ブスっとした顔でついてくる。
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