白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「琥白さん、酔っていらっしゃるんですか」
「酔っていません。あなたとしたことは、全部きちんと覚えていたいですし」
「全部って……」
(やっぱりまた、キスするんだろうか)
そんなことを思ったとき、琥白さんは意地悪そうな笑みを顔いっぱいに浮かべた。
「私、実は多少積極的な女性の方が好みなんです」
「積極的とは?」
「例えば、自分からキスをしてくれるような。ねぇ?」
琥白さんが挑発するようにそう言って、私を見ている。私はなんとか琥白さんを見つめ返すと息を飲んで、口を開いた。
「……目、瞑っててください」
すると琥白さんは、はい、と言って当たり前のようにすっと目を閉じる。
琥白さんの長いまつ毛が頬にかかった。
(端正な顔立ちだよね、昔から……)
私は目を瞑る琥白さんを見て、そんなことを思っていた。