白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「感謝……?」
「私は、元は会長の第二秘書を勤めていました。なので琥白さんのことは昔から存じ上げていますが、この数年はずっと仕事にのめり込むようになって、見ていて心配なくらいで……。会長も同じように感じられていたようです。本来なら琥白さんはまだ肩書は開発部長ですので秘書などつけないのですが、会長は、身の回りのことも含めて私を補佐……事実上の秘書につけました」
「……」
そんなこと初めて知ることだった。
「でも、ふたばさんと一緒に住むようになってからは、夜から朝まではご自宅で過ごされるようになって、安心していたんです。倒れられでもした方が大変ですからね」
「琥白さんは昔から何でもそつなくこなしているように見えましたが……」
「そういうところを身近な人間にも見せないのが、あの人の良さで、欠点だと思います」
神尾さんははっきりと言う。
でも私にはそんなことを言う神尾さんの気持ちがなんとなくわかった。
この人は、ずっと琥白さんを身近で見てきた人だ。
心配や、不安、近くにいてもどうにもできないもどかしさ。
―――あの時の兄を見ていた私と一緒なんだ……。