スタンドバイユー
立ち話も何だからって、いちおう彼を部屋に上げた。



「カメラマンに尾行されてるかも知れない」


半ば脅しに近いことを言ったりするから。


「…あ、あの…インスタントです、けど…」


コーヒーを出して、テーブルを挟んでとりあえず、座る。



狭い部屋だから、当然向かい合って座るしかない。


「………、」


一言も喋り出す気配すらない、有樹さん。


流れるのは、いたたまれない程の気まずい空気…


「…あの、コーヒー…もう一杯いかがですか?」



「……いらん」


…そう、ですか……



「…あの、お腹…すいてません?良かったら何か作ります。あの、あたしも食べたいし」


夕ごはんまだだから、お腹すいてるんですよ。



「……いらん」


「……、」




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