一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 そうでなければきっと赤くなっているであろう私の顔を見られてしまう。

 胸の内をもどかしく駆け巡るこのくすぐったいような奇妙な気持ちはなんだろう。

 恥ずかしくてうれしくて、私も彼を直視できなくなる。

「え……えっと。私、そろそろ行くね。サークルのみんなが待ってるし……。プリント、本当にありがとう」

 食べ終えた定食のトレイを手に立ち上がろうとした時、彼が勢い付いて先に立った。

「土曜日って暇か? もし空いてるならどこか……遊びに行かないか」

「う、うん? 特に用事はないけど……」

 私なんかと遊んで楽しいのかと喉まで出かかったが、なんとか言わずに呑み込んだ。

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