一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 深冬が私に覆いかぶさり、着ていたシャツを脱ぎ捨てる。

 先ほど丁寧にコートをかけていた手つきとは違う、どこか荒っぽく雄を感じさせる仕草だった。

「この先に進んでもいいか?」

 乞うように尋ねられて首を横に振るなんてできなかった。

「うん。……や、優しくしてね」

「正直、自信がない」

「えっ、そんな」

 慌てた私を笑うと、深冬は唇ではなく首筋にキスを落とした。

「んっ……」

 雪の降る外気にさらされて冷えていた肌はとっくに温まっていたのに、彼の唇の方がずっと熱くて震えてしまう。

 こんな熱いキスは知らない。春の陽射しの下で寄り添うようなキスしかされてこなかったから。

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