一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~

「うわ、ちょっ! 深冬!」

 深冬が強引に智秋さんの腕を引っ張って外へ連れ出そうとする。

 彼は弟に引きずられながら私を振り返ると、眩しいぐらい気持ちのいい笑顔で手を振った。

「それじゃあまた。俺の深冬をよろしくね」



 それから半月後の三連休に、私と深冬は京都へ足を運んだ。

「てっきりもっと後にお邪魔することになるかと……」

「早く済ませておかないと智秋がうるさい」

 初めて彼の兄と会った後、私の知らないところでやり取りがあったらしく、とんとん拍子に旅行の日程が決まったのだ。

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