一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 咲良さんの朗らかな笑みは緊張していた私の心をほっと和ませてくれた。

「さて、お客様を玄関でお待たせするのはよろしくないな。〝桃花の間〟に案内するよ」

「ああ、あそこか」

 実家なだけあって深冬にはどこの部屋なのかわかるようだ。

 ホームページでいくつか部屋の写真を見たが、果たしてその中にこれから泊まる部屋はあっただろうか。



 智秋さんたちと一緒に向かった桃花の間は、たった一泊しかしないのがもったいないほど広く美しい。

 十畳ほどあるだろうか、優美な松の生える庭園が目の前に拝める素晴らしい景観の部屋だ。

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