一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「あの人に襲われた時、自分はなにをしてたんだろうって思ったんだよね」

 深呼吸をして、もっと早くに気付くべきだった想いを口にする。

「私、またあなたを失うのが怖かった。もう一度あんな思いをするぐらいなら、あなたとの二度目の恋を捨てた方がいい。……でも別れを怖がって離れるより、別れるまで側にいる方がよかったんじゃないかって。おかしいよね。十年前の私ならすぐ選べたのに、大人になってからの私はできなかった。本当に怖かったの」

 彼は口を挟まずに私の背中をなでていた。

「私はあなたが思うよりずっと、橘深冬を愛しているみたい」

「知っているから半年の結婚生活を受け入れたんだ」

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