一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 寝室のベッドは五人ぐらい並んで眠れそうなほど広いのに、どうしてこんなに近い場所にいるのだ。

「深冬、もうお昼過ぎだよ。そろそろ起きてご飯にしない?」

 眠らせておくかどうか悩んだが、なんとなく声をかけてしまった。

 たぶん私はうれしかったのだと思う。目を覚ました時に、ともに夜を過ごした人が隣にいてくれたから。

「なんだ、元気だな。昨日は何度ももう無理だと言ったくせに」

 目を開けた深冬があくびを噛み殺しながら言って、不意に幸せそうな笑みを浮かべた。

「あの日もこんな朝を迎えたかった。やっと欲しいものを手に入れられた気がする」

< 258 / 261 >

この作品をシェア

pagetop