一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「そうだね。私もあなたがちゃんといてくれてほっとしてる」

 そうしようと決めたわけでもないのにそっと唇が重なった。

 大人の男女がするには子供っぽいおはようのキス。それもたぶん、私たちは十年前に望んでいた。

「今日はどうやって過ごそうね。一日お休みだし、せっかくならデートでもしようか」

「悪くない。ただ、出発時間は遅らせた方がいいだろうな」

「どうして?」

 朝食兼昼食をとるとしても、そんなに遅くはならないだろう。今からシャワーを浴びたところで大して時間はかからない。

 不思議に思った私の髪に指を絡めた深冬が口角を引き上げた。

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