片恋
「やば、逃げよう」


と、延藤くんは私と伊月くんの手を同時につかんで、教室を飛び出した。


いつもあまり表情が変わらない伊月くんも、さすがに驚いた顔をしている。


「この辺なら、まあ大丈夫かな」


そう言って延藤くんが立ち止まったのは、屋上に続く階段。


「はー、てか、なんで俺まで来ちゃうかな。……疲れた。帰るわ」


自身の行動にツッコミを入れつつ、延藤くんは振り返りもせずに、また階段を下りる。


「あっ、延藤く……」

「延藤」


私の呼びかけをさえぎり、延藤くんの名前を呼ぶのは伊月くん。
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