片恋
伊月くんは、「そっか……」と、少しだけ考え込む。

そして、


「もしかして、歌い手の“Kou”って、延藤?」

「え」

「え」


伊月くんの問いに、私と延藤くんは同時に声を漏らす。


「えっ、な、なんでそれ……!?」


延藤くんがこんなに動揺している姿は、初めて見た。


「ああ、本当に延藤なんだ。ずっと前から、声でそうかなって思ってたんだけど」

「は!? ずっと前!?」

「伊月くん、歌い手の“Kou”って知ってたの?」


叫んだ後、口をパクパクさせて言葉を続けられない延藤くんに変わって、私が聞く。


「え? うん。俺が前から一番好きな歌い手なんだけど」


まさかの展開。
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