エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
納得してスマホから顔を上げると、男性ふたりはお蔵入り企画をネタに会話を始めた。
増本さんが食事を進めるのを見て、私もフォークを手に取る。


「あの。増本さんって、普段どんな風にアイデア探してるんですか?」


そおっと訊ねてみると、彼女は思考を巡らせるように目線を天井に上げて、「うーん」と唸った。


「視野を広く持つことかな。自分だけの世界じゃ狭いから、まず固定観念を払拭する。本を読んだりテレビを観たり。旅行も買い物もいっぱいして、とにかくなんでも手に取ってみる」

「ふむふむ」

「コンビニで他社商品見るのも、そこから派生させたりできるし、いい勉強になるわよ。私、コンビニなら、一時間居座れる自信ある」

「こ、コンビニに一時間!」


私が素っ頓狂な声を出すと、加藤さんが肩を揺らしてくっくっと笑った。


「それで不審がられて、増本さん、このビルから一番近いコンビニ、出禁になったんですよねー」

「えっ!?」

「うるさい、加藤。黙れ」


私はあ然としたものの、長年一緒に商品企画に携わっているからこその、苦労話と失敗談。
私も早く、そういうものも全部共有して、成功を喜びたい。


「旅行、買い物。なんでも手に取る。コンビニに居座る……」


増本さんの言ったことを、自分に刻むように呟き……。


「…………」


すぐに、私には現状、どれも難しいことを思い出した。
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