エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
宿題を忘れて、教師に怒られる小学生みたいな気分になって、私は目を彷徨わせた。


「実家に、帰ろうかと」

「え?」


彼の瞳が険しく光るのを見て、竦み上がる。
でも、なんとか許可をいただきたい。
私は自分を鼓舞して、彼に目線を合わせた。


「仕事のためなんです。私はお菓子の企画を挙げるのが仕事なので、GWを使っていろいろリサーチしたくて」


鋭く厳しい瞳に射貫かれ、後ずさってしまいそうになる。
それでも、なんとか足を踏ん張り……。


「私の地元なら、あの男の人に尾け回されることもないと思うし」

「…………」

「コンビニとか本屋とか、回りたいんです。東京じゃ無理だけど……」


純平さんは、私の言葉の途中で、テレビの方に視線を流した。
そして、


「テレビ。観ろ」


短いひと言で、私を促す。


「え?」


言われるがまま、私は肩越しに振り返った。
テレビに映し出されたスーパーを、目で追おうとすると、


『警視庁は今日、複数の客と覚醒剤を売買したとして、覚醒剤取締法違反の疑いで、大島照子容疑者四十一歳を逮捕、起訴したことを明らかにしました』


女性キャスターが読み上げるニュースが、耳に飛び込んできた。
純平さんが、無言で長い足を組む。
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