エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
私は無意識に、テレビの方に向き直った。
何時頃のことなのか、映像は暗い。
報道陣が焚く、眩いフラッシュに浮かび上がるのは、数人の刑事に左右を固められて車に乗り込む、伏し目がちの女性だ。
「あ……!」
東京駅で乗り換え方法を教えてくれた、あの女性だった。
あれから三週間ほどで、随分とやつれた印象だけど、間違いない。
なんとも説明し難いショックを受けて、私は呆然とした。
『大島容疑者は、三月下旬、東京駅で客と取引しようとしていたところを、張り込んでいた警察に取り押さえられました。警視庁では、覚醒剤の流通方法など、組織的な犯罪と見て捜査を進めていました』
女性があの後どうなったか教えてもらっていなかったけど、その日のうちに捕まっていたようだ。
私は、ドクドクと騒がしく拍動する胸に手を当てた。
「お前に商売道具を押しつけて逃げようとした女は、この後司法に委ねられる。どんな気分だ?」
「どんな、って」
質問に戸惑って、もう一度彼に目線を戻した。
純平さんは腕組みをして、私の反応を上目遣いで待っている。
「重大犯罪に巻き込まれたということを、自覚し直せ」
それでも私が答えられないから、冷淡な溜め息を漏らした。
何時頃のことなのか、映像は暗い。
報道陣が焚く、眩いフラッシュに浮かび上がるのは、数人の刑事に左右を固められて車に乗り込む、伏し目がちの女性だ。
「あ……!」
東京駅で乗り換え方法を教えてくれた、あの女性だった。
あれから三週間ほどで、随分とやつれた印象だけど、間違いない。
なんとも説明し難いショックを受けて、私は呆然とした。
『大島容疑者は、三月下旬、東京駅で客と取引しようとしていたところを、張り込んでいた警察に取り押さえられました。警視庁では、覚醒剤の流通方法など、組織的な犯罪と見て捜査を進めていました』
女性があの後どうなったか教えてもらっていなかったけど、その日のうちに捕まっていたようだ。
私は、ドクドクと騒がしく拍動する胸に手を当てた。
「お前に商売道具を押しつけて逃げようとした女は、この後司法に委ねられる。どんな気分だ?」
「どんな、って」
質問に戸惑って、もう一度彼に目線を戻した。
純平さんは腕組みをして、私の反応を上目遣いで待っている。
「重大犯罪に巻き込まれたということを、自覚し直せ」
それでも私が答えられないから、冷淡な溜め息を漏らした。