エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
意図せず視線がぶつかると、私からサッと目を逸らし、


「ご苦労。あとは、明日聞く」


短く言って、電話を切った。


「す、すみません。お邪魔してしまって……」


私に聞かれないよう、誤魔化した様子だったから、ドア口で立ち尽くしたまま、肩を縮めて謝った。


「いや。構わない」


純平さんはソファに歩いていって、勢いよく腰を下ろした。
深く背を預けて、天井を仰ぐ。


横顔が険しいのは、疲れているからか、それともなにか気になることがあるからか……。
私は判断できず、ちょっと怯みながら彼に近寄った。


「あの……お仕事、なにかあったんですか?」


遠慮がちに訊ねると、彼が私をチラリと一瞥する。


「お前さ……」

「はい」

「……いや、なんでもない」


純平さんは、呼びかけておいて、わずかな間逡巡して、結局かぶりを振った。
言いかけてやめるなんて、彼らしくない。
だけど、一度のみ込んだことを口にする気はないらしく、薄い唇を結んだままで、なんとなく重い沈黙がよぎる。


せっかく一緒にいられるのに、こんな空気は嫌だ。
なにか私にできること……と、頭を働かせて――。


「純平さん」


私は両腕を伸ばして、彼の頭を胸に抱きしめた。


「っ、え?」


純平さんは、警戒するみたいに、瞬時に身を固くする。
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