エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
***
六月初旬、作倉の最大勾留期限を迎えた。
最後の取調べに入った朝峰が、開始から一時間経って、俺に電話を寄越した。
『作倉が、指揮官の同席を希望しています』
通常、指揮官が直接捜査に入ったり、被疑者の取調べを行うことはない。
しかし、同席してはいけないということでもない。
俺は、受話器を耳に当てたまま、わずかに逡巡した。
麻薬売買組織の構成員という理由で、検察は作倉を起訴する方針を固めている。
しかし、役割はただの見張り役にしかすぎず、無罪になる可能性もある。
有罪でも、執行猶予付き。
つまり、公判が済めば、一年……いや、半年もせず、社会復帰するということだ。
その時、歩の身が絶対安全という確証はない――。
「すぐ行く」
俺は受話器を置いて、オフィスを出た。
取調室に入ると、朝峰がスッと立ち上がった。
マジックミラーの向こうの隣室には、新海を始め、数人の部下がいることはわかっている。
「瀬名さん」
俺の名を呼び、連絡してきた経緯を説明しようとするのを、軽く手で制した。
「構わん。俺にも、言いたいことがある」
それだけ言って、革靴の踵をカツカツ鳴らし、彼の隣、机を挟んで作倉の向かいのパイプ椅子を引いて腰を下ろした。
まっすぐ作倉に目線を向け、軽く顎を上げて用件を促す。
六月初旬、作倉の最大勾留期限を迎えた。
最後の取調べに入った朝峰が、開始から一時間経って、俺に電話を寄越した。
『作倉が、指揮官の同席を希望しています』
通常、指揮官が直接捜査に入ったり、被疑者の取調べを行うことはない。
しかし、同席してはいけないということでもない。
俺は、受話器を耳に当てたまま、わずかに逡巡した。
麻薬売買組織の構成員という理由で、検察は作倉を起訴する方針を固めている。
しかし、役割はただの見張り役にしかすぎず、無罪になる可能性もある。
有罪でも、執行猶予付き。
つまり、公判が済めば、一年……いや、半年もせず、社会復帰するということだ。
その時、歩の身が絶対安全という確証はない――。
「すぐ行く」
俺は受話器を置いて、オフィスを出た。
取調室に入ると、朝峰がスッと立ち上がった。
マジックミラーの向こうの隣室には、新海を始め、数人の部下がいることはわかっている。
「瀬名さん」
俺の名を呼び、連絡してきた経緯を説明しようとするのを、軽く手で制した。
「構わん。俺にも、言いたいことがある」
それだけ言って、革靴の踵をカツカツ鳴らし、彼の隣、机を挟んで作倉の向かいのパイプ椅子を引いて腰を下ろした。
まっすぐ作倉に目線を向け、軽く顎を上げて用件を促す。