エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「あの女。あんたの彼女?」


彼は、歯に衣着せずに直球で質問してきた。
俺が無言で眉根を寄せるのを見て、朝峰が横から「菅野さんのことです」とコソッと耳打ちしてくる。


「答える必要性を感じない」


肯定とも否定とも言えない返事をすると、作倉が身を乗り出してきた。


「恋人だろ? そうじゃなきゃ、刑事が道端であんなことするわけな……」

「だったら、なんだ」


俺は、声を張って威圧的に遮った。


「さっさと用件を済ませろ。俺は暇じゃない」


作倉は不服そうな顔をして、口を噤んだ。
朝峰が胡散臭そうな横目を向けてくるのは、咳払いで誤魔化す。


「言わないなら、俺から先に忠告しておく。今後、彼女の安全を脅かすような行動に出たら、俺は容赦しない」


窮屈に足を組み上げ、話題を変えるつもりで、声を低めた。


「……へえ?」


作倉が、興味を引かれたように眉尻を上げる。


「随分、あの女が大事なんだな、刑事さん」

「個人的感情で言ってるわけじゃない。お前ら悪人から、善良な一般人を守る。それが、我々警察の使命だ」

「だったら、俺に説教する暇もないだろ。さっさと女のところに行ってやれば?」


やけに居丈高な態度に、俺は不快に眉をひそめた。
起訴を前にヤケになっているわけでも、開き直った様子でもない。
< 212 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop