エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
作倉は、落ち着きなくペロッと唇を舐めてから、
「菅野歩、二十七歳」
踏ん反り返って、やけにゆっくりねっとりと言った。
「なっ……!」
朝峰がハッと目を瞠り、パイプ椅子をガタンと鳴らして腰を浮かせる。
その反応を見て、作倉はニヤッと笑う。
「大手食品メーカーの東京本社、商品企画部第一製菓グループ所属。生まれて以来地方の地元暮らしで、この四月に上京したばかり。家族構成は、父母と祖母、嫁いで家を出ている三十歳の姉」
流暢に語られたのは、俺すら知らない歩の個人情報だった。
俺も息をのんで絶句する。
作倉は形勢逆転とばかり、腕組みをしてふんと鼻を鳴らした。
「俺はバカだから、なかなか取引には使ってもらえなかった。報酬の少ない見張りばっか。バカでもできる簡単な仕事でしょっ引かれて、上からも見放されちゃうわけ」
――それで、自暴自棄になっているのか?
彼の言葉だけで推測すれば、それが正解かもしれない。
しかし、歩についてそこまで調べた理由は……?
不審感と同時に、警戒心が強まっていく。
「でもありがたいことに、あんた方が言う悪人は、善人よりもよっぽど絆が強い。まだ外には、俺の味方がたくさんいてさ。外に出たら、こんな俺でも助けてくれるって言うんだ」
作倉は、どこか悦に入った様子で、滔々と述べた。
〝助ける〟見返り。
それは……。
「菅野歩、二十七歳」
踏ん反り返って、やけにゆっくりねっとりと言った。
「なっ……!」
朝峰がハッと目を瞠り、パイプ椅子をガタンと鳴らして腰を浮かせる。
その反応を見て、作倉はニヤッと笑う。
「大手食品メーカーの東京本社、商品企画部第一製菓グループ所属。生まれて以来地方の地元暮らしで、この四月に上京したばかり。家族構成は、父母と祖母、嫁いで家を出ている三十歳の姉」
流暢に語られたのは、俺すら知らない歩の個人情報だった。
俺も息をのんで絶句する。
作倉は形勢逆転とばかり、腕組みをしてふんと鼻を鳴らした。
「俺はバカだから、なかなか取引には使ってもらえなかった。報酬の少ない見張りばっか。バカでもできる簡単な仕事でしょっ引かれて、上からも見放されちゃうわけ」
――それで、自暴自棄になっているのか?
彼の言葉だけで推測すれば、それが正解かもしれない。
しかし、歩についてそこまで調べた理由は……?
不審感と同時に、警戒心が強まっていく。
「でもありがたいことに、あんた方が言う悪人は、善人よりもよっぽど絆が強い。まだ外には、俺の味方がたくさんいてさ。外に出たら、こんな俺でも助けてくれるって言うんだ」
作倉は、どこか悦に入った様子で、滔々と述べた。
〝助ける〟見返り。
それは……。