エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
俺に冷静さを取り戻させようと、先ほどの怒気がこもった声で窘める。
ピタッと動きを止める俺を見て、ホッと息をつく。
「瀬名さんの今後のキャリアのためにも、ここは我慢を。申し訳ありませ……」
「たったひとりの女も守れず、なにが警察だ。キャリアだ」
俺は顔を歪めて、安堵する彼を遮った。
「っ、え?」
戸惑ったように、聞き返される。
と同時に、どこかで耳にした言葉が、はっきりと脳裏に浮かび上がった。
『今のままで、純平さんは十分すごい人です。なのに、なんのために、もっと上に行きたいんですか』
いつ、誰に言われたか、記憶が曖昧だったが、今この場ではっきり思い出す。
「……本当にな、歩」
皮肉な気分で独り言ちると、背後から近付いてきた新海が、「瀬名さん?」と探るような声をかけてくる。
俺はスッと姿勢を正し、前を阻む朝峰と後ろに立つ新海に、順繰りに目を遣った。
「大事な女に危険が迫っているのに、こんなところで足踏みしてられるか。警察官僚は現場に出るなと言うなら、キャリアなど返上してやる。……地の底まで、転がり落ちてやろうじゃないか」
ギリッと奥歯を鳴らす俺に、ふたりが息をのんでいる隙を突き――。
「っ、瀬名さんっ!」
俺は朝峰を押し退けて、取調室から飛び出した。
ピタッと動きを止める俺を見て、ホッと息をつく。
「瀬名さんの今後のキャリアのためにも、ここは我慢を。申し訳ありませ……」
「たったひとりの女も守れず、なにが警察だ。キャリアだ」
俺は顔を歪めて、安堵する彼を遮った。
「っ、え?」
戸惑ったように、聞き返される。
と同時に、どこかで耳にした言葉が、はっきりと脳裏に浮かび上がった。
『今のままで、純平さんは十分すごい人です。なのに、なんのために、もっと上に行きたいんですか』
いつ、誰に言われたか、記憶が曖昧だったが、今この場ではっきり思い出す。
「……本当にな、歩」
皮肉な気分で独り言ちると、背後から近付いてきた新海が、「瀬名さん?」と探るような声をかけてくる。
俺はスッと姿勢を正し、前を阻む朝峰と後ろに立つ新海に、順繰りに目を遣った。
「大事な女に危険が迫っているのに、こんなところで足踏みしてられるか。警察官僚は現場に出るなと言うなら、キャリアなど返上してやる。……地の底まで、転がり落ちてやろうじゃないか」
ギリッと奥歯を鳴らす俺に、ふたりが息をのんでいる隙を突き――。
「っ、瀬名さんっ!」
俺は朝峰を押し退けて、取調室から飛び出した。