エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
それどころか、運転席のドアが開いて、人が降りてきた。
月明りの下、弱い街灯に照らされ、青白く揺れる影。
「警察だ。全員降りろ!」
静かな怒りを滲ませた能面のような顔の横に、上着のポケットから取り出した革の手帳をぶらんと下げた、その人は――。
「じゅ、純平さん!!」
私は藁にも縋る思いで、その名を叫んだ。
急いで車から降りようとして、運転席側の後部ドアを開ける。
その途端、
「なにしてんのよっ!」
隣の女性が、私の首に後ろから腕を回して止めた。
同時に、車が勢いよく発進する。
「ひゃっ……」
シートに吸い込まれるような感覚に、思わず首を縮めた。
それでも無我夢中で外を見ると、純平さんがアスファルトの上をゴロゴロと転がって、後方に遠退いていく。
「純平さ……!」
「ひ、轢いたの!?」
全身の肌をゾワッと粟立たせる私の耳元で、女性が上擦った声を上げた。
「そんなこと気にしてる場合じゃねえっ」
運転席の男性が、金切り声で怒鳴る。
「やだ、停め……うっ……」
いきなり身を襲った激しい衝撃で、首が前後に揺さぶられた。
私を乗せた軽自動車は、無人のベンツを力任せに退かそうとして、ガンガンぶつかっていく。
ベンツは右に寄りながら後方に押しやられ、軽自動車が通り抜けられるくらいの隙間ができた。
その時。
月明りの下、弱い街灯に照らされ、青白く揺れる影。
「警察だ。全員降りろ!」
静かな怒りを滲ませた能面のような顔の横に、上着のポケットから取り出した革の手帳をぶらんと下げた、その人は――。
「じゅ、純平さん!!」
私は藁にも縋る思いで、その名を叫んだ。
急いで車から降りようとして、運転席側の後部ドアを開ける。
その途端、
「なにしてんのよっ!」
隣の女性が、私の首に後ろから腕を回して止めた。
同時に、車が勢いよく発進する。
「ひゃっ……」
シートに吸い込まれるような感覚に、思わず首を縮めた。
それでも無我夢中で外を見ると、純平さんがアスファルトの上をゴロゴロと転がって、後方に遠退いていく。
「純平さ……!」
「ひ、轢いたの!?」
全身の肌をゾワッと粟立たせる私の耳元で、女性が上擦った声を上げた。
「そんなこと気にしてる場合じゃねえっ」
運転席の男性が、金切り声で怒鳴る。
「やだ、停め……うっ……」
いきなり身を襲った激しい衝撃で、首が前後に揺さぶられた。
私を乗せた軽自動車は、無人のベンツを力任せに退かそうとして、ガンガンぶつかっていく。
ベンツは右に寄りながら後方に押しやられ、軽自動車が通り抜けられるくらいの隙間ができた。
その時。