エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
エピローグ
純平さんがプロポーズしてくれてから、ふたつ目の季節を迎えた十一月初旬。
今日は、土曜日。
お昼に、ホームパーティーを予定している。
昨日の夜から仕込みをして、朝から張り切って料理をしていた私は、パーティーの準備を終えて、ソファにドスッと腰を下ろした。


「ふーっ……」


天井を仰ぎ、声に出して息を吐いてから、壁時計に目を遣る。
もうすぐ正午。
朝から仕事に行っている純平さんも、朝峰さんを連れて帰ってくる。
桃子も、そろそろ来るはずだ。


束の間の休息、私はテレビを点けた。
ちょうど、お昼のニュースが映し出される。


『続いて、麻薬売買事件に関連する公判の続報です』


原稿を読み上げる女性キャスターの堅苦しい声を聞いて、私はソファから背を起こした。


『今年三月、複数の客に覚醒剤を売ったとして、大島照子被告が逮捕された際、東京駅で見張り役を務めたと見られる、作倉義一被告の控訴審が行われました』


一瞬、ドクッと心臓が沸き、浅く座り直して身を乗り出す。


『作倉被告は、ある女性に対する個人情報保護法違反や恐喝罪など、複数の容疑で起訴されています。第一審では懲役三年執行猶予三年の実刑判決が下り、これを不服として控訴していました。しかし、先日行われた第二審は、一審の判決を支持しました。被告側は、上告を断念する見込みです』
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