エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
そもそも、この綺麗な家を見渡す限り、掃除も洗濯も間に合っているような。
――それなら、手料理はどうだろう?


私が食品メーカーを志望したのも、もともと食べるのが好きだからだ。
昔から食事の支度はよく手伝っていたおかげで、人に出しても恥ずかしくない程度の料理は作れる。


純平さんは、いつも何時頃帰ってくるんだろう?
私は少しの間逡巡して、昨夜からソファに置きっ放しだったバッグを手元に引っ張った。
中からスマホを取り出し、発信履歴の一番上の番号をジッと見つめる。


純平さんはまだ移動中だろうから、仕事の邪魔にはならないはず。
いや、でも、こうしている間にも、昨夜の私がしたように、お仕事の電話を受けているかもしれない――。
ソワソワと目を泳がせながら、電話をかけていいものか迷っていると、『はい』と、くぐもった声が聞こえた。


「……え?」


ハッとして、手元のスマホに目を落とす。


『もしもし?』


訝し気な声が耳に届くと同時に、〝通話中〟という表示を目にして、ギョッとした。
指を滑らせて、発信してしまったようだ。
慌てて、シャキッと背筋を伸ばす。
繋がってしまった以上、切るわけにもいかない。
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