エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「純平さん、すみません!」


私は、声を裏返らせて謝った。


『……は?』


だけど、続いた声には不審そうな気配が漂う。
どうやら、私だとわかっていない様子……。


「えっと……歩、です……」


昨日一度電話をかけてるし、声で気付いてくれるだろうと思っていた。
地味にショックを受けて名乗ると、電話の向こうがシンとなった。


「あの……?」

『この番号は仕事用だ。二度とかけてくるな』


骨の芯まで凍えそうな冷たいひと言に怯んで、私はビクッと身を震わせた。


「ご、ごめ……あっ」


謝罪の途中で、ブツッと通話が切れた。
耳からスマホを離し、がっくりとこうべを垂れる。


「き、切られた……」


昨夜も、私の認識以上に、迷惑だったということだろう。
その上、警察官僚なのに、偽装結婚なんて犯罪に手を染めることになってしまい、申し訳なさしか湧いてこない。


「……はあ」


深い溜め息をついてうなだれていると、スマホがけたたましく鳴り出した。


「ひゃっ!?」


ギョッとして、心臓が跳ね上がる。
スマホをお手玉しそうになって、相手が誰かもわからないまま応答した。
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