エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「は、はい。もしも……」

『この番号はプライベートのものだ。用がある時は、こっちにかけろ』

「え?」


応じる途中で低く抑揚のない声を挟まれ、パチパチと瞬きをする。


「……純平さん?」


恐る恐る探りかけると、『はあっ』とやけに力強い吐息が聞こえた。


『夫の声くらい、ちゃんと覚えておけ』


ついさっき、〝妻〟の声には、気付かなかったくせに。
……という不満を言える立場にはない。
喉まで出かかった言葉をのみ込み、グッと堪えた。


「はいっ。すみません!」


条件反射で姿勢を正し、スマホの画面を確認する。
そこには、先ほどのとは違う番号が表示されていた。


男の人のプライベートの電話番号なんて、地方支社で働いていた頃、一緒に社内旅行の幹事をした同僚から、『一応教えておく』と言われて、交換した時以来だ。
ちょっとドキドキしながら、再びスマホを耳に当てる。


「この番号なら、迷惑にならないんですね。ちゃんと登録しておきま……」

『こっちのスマホの着信は、仕事中は無視してるから、別に構わない』

「…………」


なんて反応を返せばいいのか、わからない。
昨夜は、あんなにエッチなことをいっぱいしたのに、昼間の私は無視前提……?
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