エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
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捜査本部が置かれた事件の捜査会議は、一日の活動報告のため、毎日午後十時頃から行われる。
メインは現場で活動する刑事たちで、指揮官の俺は、意見を求められた時に発言する程度だ。
今日の会議では、麻薬密売組織のバイヤー、大島照子の聴取状況が報告された。
三月下旬、東京駅で、歩を嵌めようとした中年女だ。
大島は客を待っていて、刑事が張っていることに気付いた。
なんとか逃げおおせる方法を考えていた時、偶然歩に声をかけられ、動かぬ証拠となるSを押しつけた。
しかし、新海とは別の俺の部下が取り押さえていた。
自身の罪状については概ね自供したものの、ミッドナイト本体、日本における売買組織や、他の構成員については完全黙秘しているため、勾留期間を延長して取調べを続けている。
構成員同志の絆がよほど強いのか、もしくは組織による制裁を恐れているのか――。
大島の最大勾留期限が迫っているが、聴取状況は芳しくない。
捜査方針の見直しが必要だ。
司会進行を務める警視庁捜査一課長の「解散」の号令で、五十人ほどの刑事が席を立ち、我先にと広い会議室から出ていく。
すでに午後十一時近いが、刑事たちの夜はまだまだ終わらない。
捜査本部が置かれた事件の捜査会議は、一日の活動報告のため、毎日午後十時頃から行われる。
メインは現場で活動する刑事たちで、指揮官の俺は、意見を求められた時に発言する程度だ。
今日の会議では、麻薬密売組織のバイヤー、大島照子の聴取状況が報告された。
三月下旬、東京駅で、歩を嵌めようとした中年女だ。
大島は客を待っていて、刑事が張っていることに気付いた。
なんとか逃げおおせる方法を考えていた時、偶然歩に声をかけられ、動かぬ証拠となるSを押しつけた。
しかし、新海とは別の俺の部下が取り押さえていた。
自身の罪状については概ね自供したものの、ミッドナイト本体、日本における売買組織や、他の構成員については完全黙秘しているため、勾留期間を延長して取調べを続けている。
構成員同志の絆がよほど強いのか、もしくは組織による制裁を恐れているのか――。
大島の最大勾留期限が迫っているが、聴取状況は芳しくない。
捜査方針の見直しが必要だ。
司会進行を務める警視庁捜査一課長の「解散」の号令で、五十人ほどの刑事が席を立ち、我先にと広い会議室から出ていく。
すでに午後十一時近いが、刑事たちの夜はまだまだ終わらない。