エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
早鐘のような鼓動。
お腹の奥底がきゅっと締まる感覚。
身体の中心が、潤う――。


私、純平さんにこうされることを、期待していたんだろうか。
私の肌を意地悪になぞる彼の手と指と、ゾクゾクするほど嗜虐的に攻め立てる唇と舌を、欲しがっていたのかもしれない――。


「っ……」


恥ずかしい。
今まで知らなかった淫らな欲求に戸惑うのに、中毒に溺れた身体が悦びに震える。


すると、胸の上で遠慮なく蠢いていた手が、ピタリと止まった。
擦りつけられていた顔も、動かない。


「……? 純平さん?」


どんなに引き剥がそうとしても離れなかった重みが、ちょっと押しただけで私の上からずり落ちる。
肘を突いて上体を起こし、恐る恐る彼を見下ろすと……。


「え。ええっ……」


純平さんは、固く目を閉じていた。
スースーと、気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。


――こんなにドキドキさせておいて、自分は寝落ち!?
私は、がっくりと脱力した。
先週のようなことを期待してしまった自覚があるからこそ、なんとも言えない悔しさが込み上げてくる。


彼の下から摺り抜けて床に尻餅をつき、


「……はあ」


声に出して、溜め息をついた。
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