身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
たっぷりとキスをしてくれるのは、椿がずっとキスをしてほしかったと告白したからだろうか。

体を重ねる以上に、キスはふたりの距離を縮めてくれる気がする。なんだかとても神聖な気がするのは、椿がまだまだ子どもだからだろうか。

――早く仁さんと同じくらい大人になりたい……。

椿はまだ、初めて出会ったときの仁の年齢にすら追いついていないのだ。

差が縮まったかと思えばさらに開き、いつまで経っても埋まることがない。

キスぐらいで動じない大人の女性になりたい。きっと菖蒲だったらキスもなんてことなく交わすのだろう。

――また姉と比べてる。

姉と仁の官能的なキス――嫌な想像が頭をよぎってしまい、必死に考えを振り払う。

ごまかすように視線を漂わせていると、ローテーブルの上に積み上がっている箱が目についた。

「仁さん、これは?」

「ああ。秘書に暇つぶしを持ってきてくれと頼んでおいたんだ。今日を含めて三日も君をここに閉じ込めることになるからな」

そう言って箱を開く。仁もなにが入っているか知らないようで「秘書のセンス次第だな」と少しわくわくした様子で包装紙を解いた。

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