身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
神社での神前式が終わって、次は大きな会場での披露宴。

色打掛にお色直ししようとしている母を見て、結梅はキョトンと首を捻った。

「おきあえ?」

手を万歳して『お着替え』のポーズ。どうやら自分もお色直ししたいみたいだ。

しまったと仁も椿も表情を変え、結梅に向き直る。

「お着替えは、ママとパパだけでいいのよ」

「ゆめも!」

「結梅はこれが一番かわいい」

「ゆめもっ!」

自分もお色直しする気満々でキラキラした瞳を向けてくる結梅に、仁も椿も『結梅の分の着替えはないよ』とは言えない。

ドレスでも着物でも、とにかく結梅にかわいいものを着せて愛でたい仁は、なんてもったいないことをしたのだろうと激しく後悔しているのが傍目にもわかった。

あまり着替えを用意して結梅を疲れさせてはまずいという配慮だったのだが、こんなことになるなら衣装ラックまるごと持ってこさせればよかったとぶつぶつ呟いている。

仁のもの言いたげな視線を受けて、個人秘書が動く。すぐさま電話をかけて、近所で子ども用のドレスを取り扱っている業者を探し当てた。

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