身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
時間稼ぎをすべく、菖蒲が「結梅ちゃん、あっちにかわいいお花があるわよ」と気を引いてくれる。

単純な結梅は「おはな? おはな?」と言って菖蒲に手を引かれて披露宴のエントランスにある装飾を見に行った。

エントランスを巡り、親戚にかわいがられ、ジュースも飲んで、控室に戻ってくる頃には結梅用のお色直し衣装が届いていた。

水色のフリルとレースがたくさんついた天使のようなドレスだ。

着物とはまた違ったキュートな衣装に、結梅の「かあい? かあい?」が再び始まる。

とまぁこんな具合に、結梅を中心として回った結婚式が無事終了した。

この日、仁と椿、そして結梅の三人はホテルに宿泊することになっている。

最上級のスイートルームで窓からの眺めも最高、まるで夜空に宝石をちりばめたよう――なのだが、部屋に辿り着く頃すでに結梅は夢の中。

今日はたくさんはしゃいでお昼寝もほとんどしなかったから、朝までぐっすり眠るだろう。

子ども部屋に結梅を寝かしつけた椿は、シャワーを浴びて備え付けてあった浴衣に袖を通した。

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