過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
確かに私の身長は中1の時からずっと154センチで、物理的な大きさでいったら大我と最後に会ったあの時と全く変わっていない。

結局22歳になっても大我の中では私はまたまだちびすけということなのだろう。

悔しいから毎朝毎晩牛乳を飲んでいる。今更伸びる訳もないんだけど、せめてもの抵抗だ。

一方私は、一応会社の上司に当たる人だし家でも専務と呼ぼうと思ったけど、

"家で専務はやめてくれ。気が休まらん。それにお前に専務とか呼ばれるの、気持ちわりい"

そう一蹴されて、南條さん、大我さん、大我くん、いろいろな呼び方を試してみたけれど、どれも難色を示され、結局家では大我、会社では専務と呼ぶことで落ち着いた。

ちなみに敬語禁止令は私の脳内会議で満場一致で否決されたため、どんなに気持ち悪がられても敬語を崩さずにいたらそのうち諦めてくれた。



「……そうだったな。気をつけて帰れよ。家着いたら連絡入れろ」



先に磨き終えて、私の頭をぐりぐりしてから洗面所を出て行く大我の背中に、やっぱり過保護だ、と内心笑いながらはいはい、と返事を返した。

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