シュヴァルツ・アプフェル～黒果～魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

「で？　進捗(しんちょく)状況は？」

　少し気だるげに、でも真剣な様子でギンが三つ子の後ろに立ち画面を見つめている。

　三つ子は画面から目を離さず答えた。


「シュミレーションはなかなか良かった」
「ただ、相手がどう出るか」
「いつも弱みを突くように設定してるのに、しっかりブロックしてくるから」

「そうか……まあ、仕方ねぇ。あまり長引かせるわけにもいかねぇんだ。それも試すぞ？」

『了解』


　そんな彼らを見守っている他の３人も真面目な顔をしていて、わたしは邪魔をしちゃダメなところだと判断する。

　着替えの入ったバッグは結局昨日からシャワールーム側のドアの近くに置いたままだ。

　わたしはそっとバッグを持ち、ドアを開いてシャワールームへと入った。


　緊迫した雰囲気から解放されて軽く息をつく。

　彼らが何をしているのかは気になったけれど、とりあえず伊刈くんたちから聞いた開発中のソフトのことだろうというのは何となくわかる。


　また今度、ちゃんと教えてもらおう。


　そう決めて、わたしはシャワーを浴びるため服を脱ぎ始めた。