シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
***

「待て! その肉は俺のだ!」
「早い者勝ちだっての!」

 伊刈くんと岸本くんで肉の奪い合いが発生している横で、眞白はシイタケや春菊を取りながらもしっかり肉を確保する。


「あ、俺白滝も好きなんだよなー。ギンは? って、焼き豆腐多くね?」

 白滝を取りながらギンに視線を向けた颯介さんは、ギンの肉豆腐と化している小鉢を見て軽く驚く。


 そんな中、三つ子はしっかり肉とねぎを確保していた。

「うまうま」
「やっぱり美味いな」
「白雪、オカン属性強め?」

「ちょっと、最後の誰が言ったの!?」

 そしてわたしは突っ込みを入れつつ、バランスよく取り分けたすき焼きを食べる。


 賑やかな食卓で食べるお高いお肉は、柔らかくておいしかった。


***

「じゃあまた明日。寝巻になるようなもの持ってくればいいんだよな?」

「うん、お願いね」

 義父さんの分の夕食を詰めたタッパーと、朝食のおかずになりそうな玉子焼きを渡して家に帰る眞白を見送った。


 そのあとは明日の下ごしらえだとか、また買い足すもののリストとか作っているうちに9時も過ぎてしまう。

 流石にシャワー浴びて寝なきゃね、と思ってリビングに戻ると、少し緊迫した雰囲気になっていて息を詰めた。
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