ホテル王に狙われてます!ハニートラップから守るはずが、罠にかかったのは私でした?!
美夕の部屋

「すいません。今、コーヒーの匂いがダメみたいで。」

と言いながら、美夕は田辺に紅茶を出した。

「やはり、妊娠されていましたか。」

「・・・すいません。」

「いえ、あなたが謝ることはありません。悪いのは、副社長です。」

「え?どうしてそう思うんですか?」

「前々から副社長は、春名さんを狙っていましたからね。明らかに確信犯です。」

「え?まさか?」

と、美夕は苦笑いをした。

「あなたの出勤日に、何度も偽名を使って宿泊したり、強引に専属担当に引き抜いたり。明らかに
狙っていたんですよ。挙句にシンガポールにも連れて行って・・・。ああ、私も同行していれば!」

と、田辺がうなだれた。今まで一緒に仕事してきたが、見たこともないくらい、落ち込んでいた。
そして、顔をぐっと上げると、

「どうか副社長を訴えないでください。慰謝料はいくらでもお支払いします。
中絶の同意書のサインは、私が書きましょう。」

と、早口でまくし立てるように言った。

「ちょ、ちょっと待ってください。私、中絶するつもりもないし、慰謝料もいりません!
妊娠には驚きましたが、産みたいと思っています。」

「まさか副社長と結婚を考えてるんですか??」

「それはないです。プロポーズはされましたが、お断りしました。」

「プロポーズを断った?・・・なるほど。だから、副社長は既成事実を作って結婚しようとしたのか。
で、春名さんは結婚もせずに一人で育てると?」

「はい。」

「認知と養育費目当てですか?」

「いえ、そんなものいりません。2人で静かに暮らせたらそれでいいです。」

「それはかなり厳しいでしょうね。」

「どうしてですか?」
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