むり、とまんない。
***


「そういうことか」

「うん……」


それから遥の気が済むまでキスされた私は。


「っ、胡桃……!?」

「ふぁ……」


気づいたときには意識が朦朧とするくらいに、ぼーっとしていて。


「遥、キス、激しい……」

「っ、だから、そのかわいいの禁止。
また押し倒したくなる」


とかなんとか渋い顔だったけれど、ようやく放してくれた。


「不安になったわけだ?
俺に気持ちが伝わってるかって」


「うん……というより、私は遥の心の声が聞こえるけど、私はなかなか素直に言えないから」


昼間あーちゃんに言われたことを話せば、遥は納得したようにうなずいた。


「だから、急に積極的になってくれたんだ?」


「まあ、はい……」


「っ、かわいすぎ。
胡桃の性格的に、めちゃくちゃがんばったんだろ?勇気、出してくれたんだ?」


「うん……」


すると、愛おしいと言わんばかりに目を細めた遥はぎゅっと私を抱きしめる。


「ちゃんと伝わってるよ。
胡桃のぜんぶから、俺への気持ち。
だから、安心して」


「うん……」


「けどまあ……さっきのはまじでかわいかった」
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