むり、とまんない。


「っ、はる、か……っ」


感じる熱と、甘い香りに、くらくらめまいがして、酸素が足りなくなって。


足が震えて立ってられない。


そう思ったときには、グッと腰をひかれて。


「胡桃、キスしよ」

「だめっ、んんっ……!」


だめだという言葉さえ遮られて、角度を変えて何度も唇が重なる。


「すきだよ、胡桃……だいすき」


「はる、かっ……」


「胡桃も、言って」


「ん、すき、だよ、遥……っ、
遥がすき……っ」


「俺も……」


ぎゅうっと抱きすくめられた腕の中、ただただキスを受け止める。


すぐ後ろで人が通る気配がする。

カギは閉まってて、部屋にだれも入ってこないってわかってはいるけれど。


「も、だめ……っ、」

「もっと……」


「んんっ……」


遥は唇を塞いだまま、離れようと、もがく私の腰をグッと引き寄せる。


「胡桃」


「っ、はっ、な、に……」


「もっとって、」


「え?」


「もっと俺がほしいって言って」


一瞬はなれた隙をついて、遥の吐息が耳に注ぎ込まれる。


びくりと肩を震わせれば、もっと耳に唇を寄せられて、低く甘く、とろけそうな声で囁かれる。


「もっと、俺じゃなきゃってだめって言って」


『俺がいないと息もできないくらい、俺なしじゃ生きられないって言って』


遥。

はるか……。


どうしちゃったの……っ。
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