むり、とまんない。
「『よんで、胡桃』」
「う、あっ……えっと……」
イジワルに微笑んでいた顔はいつの間にか。
ん?と首をかしげて、ただ目を細めてやわらかい笑みを浮かべるだけ。
「はずかしい?
大丈夫、俺しか聞いてないし」
『はずかしがってんの、やばい。
めちゃくちゃかわいいって。かわいいがすぎる』
「ううっ……」
そーじゃなくて……っ!
かわいいかわいい、うるさいって言ってるの!!
「なら、これならいい?
顔、見えないし」
「っ〜!!」
ますますむりだよ……っ!!
腰に回った腕と、するりと絡まる指。
耳にキスができちゃうほど近づけられた唇と。
そして鼻をくすぐるオレンジの香りが。
ぜんぶがまた一度、体温を上げる。
「ほら、言ってみ?
遥って」
「……はる、か」
「もういっかい」
『もっとちゃんと。
昔みたいに』
「はるか……」
「っ、はぁ……もういっかい」
『あー……久しぶりによばれた。すっげえ嬉しい。
でもまだまだ。
ぜんぜん足んない』
うええ、ま、まだ……?
「き、聞こえてるでしょ……?」
「うん。
でも胡桃の声不足でどうにかなりそうだから、あと5回と、終わったあともちゃんと遥ってよんで」