むり、とまんない。
そ話は冒頭にもどる。
「あの〜、遥?
そろそろ離れてくれるとうれしいんだけど……」
それからキッチンに向かった遥の隙を狙って、出ていこうとしたのに。
「手、はなしたらぜったい帰るだろ」
『だから無理』
手を重ねられていることよりも。
背中にピタッと張り付くように、遥が立っているせいで。
直に体温が伝わってきて、変に意識してしまう。
「そっ、そもそもなんで急に帰さない、なんてっ……」
「それは胡桃が一番わかってんじゃないの」
『声震えてる?意識してんのかわいー。あー……このまま抱きしめたい』
「だっ!?」
「だ、がなに?」
「い、いやなんでもないです……」
まっ、またやってしまった……。
反応しないように。
聞き流さなきゃ。
そう思うのに、遥の心の声はとにかく聞いてるこっちがはずかしくなることばかりで、どうしても声をあげたくなってしまう。
『やっぱりな』
な、なにが……。
そう思った瞬間。
「ちょっ、遥……っ!?」
「はいはい、暴れない」