むり、とまんない。


「なっ、お、下ろして……っ」


ふわりと体が持ちあげられて、気づけばお姫さまだっこをされてる状態。


なっ、なんで急に……!?


「胡桃軽すぎ。ちゃんとたべてる?」
『心配になる。腰とかほっそいし』


「たっ、たべてるよ……」


これでお姫さまだっこは2回目、だけど。


「うっ、わっ、落ちる……っ!」

「落ちない落ちない。
怖いなら、俺の首に手、まわしてくれていいけど?」
『てか、まわしてほしい』


そんなことしたら、心臓の音がバレる……!!


頭の上でフッと笑う声が聞こえたけれど、なんだか負けた気がして、私は目の前のカーディガンを掴むだけ。


『んー、もっとぎゅっと抱きついてくれていいんだけど。胡桃が俺の腕の中にいるって実感したい』


「ほら、こうして?」


なんて手をとられそうになるけれど。


「っ、し、しない……っ
というか、ごはん作らなきゃだから帰る……っ!」


とにかく離れたくて、全力で拒否する。


「だから帰さないって」
『あー……このままぎゅってしたい。つーか、していい?』


話聞けーーっ!!

そう叫びたいのに、ただよう甘い香りと、お互いの心臓の音が聞こえるくらいの距離に、頭がクラクラしてきて。


「なっ、なんでそんないじわる……っ」
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