2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
BGMを掻き消すように刃先が擦れるハサミの音。
毛先が細かに舞い上がる。

美しく、大胆に…かつ自然な曲線。
真冬の大地に飛び立つトキの翼のように、誰もが振り向いてしまう程の優美と気品。

夕日を受けて眩しく反射する…君は特別。
流青は呼吸を整えると自分の中にのめり込む。
静かに沈む自分の世界へ…

青空に飛び立つ力強さは攻めてくる程に少し怖い。
けれどそれがとても愛おしく美しいから拒めずに立ち尽くす。
目が離せない。

それが恋なのか?

ドキドキする…でも穏やかな2人のデート。自然な笑顔と抱擁が溢れる。

遠くで聞こえていたカメラのシャッターの音が急に耳元で騒ぐ。

終わった…

小顔のコツメカワウソが立ち上がると気取って胸を張り目を細める。

「流青さん。 カッコよっ!」

48分。 残り2分。

長く吐き出す息と一緒にハイタッチの2人。
気がつくと2人は数人のカメラマンに取り囲まれていた。

終わった。
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