2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
《…光と影…》
scene.2
「ヤバい…お腹痛くなってきちゃった。」
隣の心ちゃんが自分のことのように、青い顔をしている。
いよいよ今年の美容師コンテスト、カラーカット部門の結果発表が始まる。
ステージに挑戦者と作品のモデルがずらりと並ぶ。
飛び交う照明と音響の重低音に酔いそうになりながら、私はリュウとその隣に立つ作品を交互に見つめた。
優美な曲線と華やかなカラーリング。不自然なくらい派手なカラーナンバーなのにモデル君の輪郭を纏うと、自然にしっくり落ち着いているのが不思議だ。
私にとってリュウはグランプリ。
リュウは本物。
もし、仮に逃してしまったとしても…私にとってのグランプリはリュウなのだ。
結局…そこは変わらない。
なのに…やっぱり息が出来ない。
〝俺、グランプリしかいらないからっ!〟
そう言ったリュウの顔を思い出すたびに胸が苦しくなる。
女性アナウンサーが声高らかに…そして淡々と入賞者の名前を読み上げる。
1人1人名前を呼ばれるたびに拍手とその合間に指を組み合わせ、神頼みポーズ。
入賞じゃない…グランプリなのだ。
オーナー、心ちゃん、私。そして…なぜかネイリストの友達について来たというアリスさん。
4人並んで同じく神頼みポーズで入賞者を祝福するが、その度に感嘆と落胆が混じっため息が漏れた。
入賞者の最後の1人が選ばれた時、わかりやすく吐き気が押し寄せて来た。
オーナーが、「もうグランプリじゃなくてもいいから…名前を呼んで欲しいっ」と一回一回…弱気な事を呟くと、アリスさんが「何言ってるんですか?まだですよ。グランプリはっ!」と謎の気迫で嗜める姿がおかしくて…
心ちゃんはその度にクスクス笑った。
極度の緊張からなのか…それとも悪阻なのか…急な胸焼けに私はシャツの胸元を祈りの手で抑え、吐き気に耐えた。
もう…無理。
準グランプリ。
4人の指先に力が入る。
…もうリュウの顔もステージも見ていられない。
知らない誰かの名前が呼ばれると…拍手をしたのかさえ定かではなく…思い返すと自分の行動に自信が持てない。
両手いっぱいの花束と盾を抱えて準グランプリが頭を下げる。
そしてスポットライトは金色の盾に。
ドラムロールの中、司会女性の声が高らかに響いた。
「第54回 美容師コンテスト、カラーカット部門。
いよいよ発表です!
今年のグランプリは……」
scene.2
「ヤバい…お腹痛くなってきちゃった。」
隣の心ちゃんが自分のことのように、青い顔をしている。
いよいよ今年の美容師コンテスト、カラーカット部門の結果発表が始まる。
ステージに挑戦者と作品のモデルがずらりと並ぶ。
飛び交う照明と音響の重低音に酔いそうになりながら、私はリュウとその隣に立つ作品を交互に見つめた。
優美な曲線と華やかなカラーリング。不自然なくらい派手なカラーナンバーなのにモデル君の輪郭を纏うと、自然にしっくり落ち着いているのが不思議だ。
私にとってリュウはグランプリ。
リュウは本物。
もし、仮に逃してしまったとしても…私にとってのグランプリはリュウなのだ。
結局…そこは変わらない。
なのに…やっぱり息が出来ない。
〝俺、グランプリしかいらないからっ!〟
そう言ったリュウの顔を思い出すたびに胸が苦しくなる。
女性アナウンサーが声高らかに…そして淡々と入賞者の名前を読み上げる。
1人1人名前を呼ばれるたびに拍手とその合間に指を組み合わせ、神頼みポーズ。
入賞じゃない…グランプリなのだ。
オーナー、心ちゃん、私。そして…なぜかネイリストの友達について来たというアリスさん。
4人並んで同じく神頼みポーズで入賞者を祝福するが、その度に感嘆と落胆が混じっため息が漏れた。
入賞者の最後の1人が選ばれた時、わかりやすく吐き気が押し寄せて来た。
オーナーが、「もうグランプリじゃなくてもいいから…名前を呼んで欲しいっ」と一回一回…弱気な事を呟くと、アリスさんが「何言ってるんですか?まだですよ。グランプリはっ!」と謎の気迫で嗜める姿がおかしくて…
心ちゃんはその度にクスクス笑った。
極度の緊張からなのか…それとも悪阻なのか…急な胸焼けに私はシャツの胸元を祈りの手で抑え、吐き気に耐えた。
もう…無理。
準グランプリ。
4人の指先に力が入る。
…もうリュウの顔もステージも見ていられない。
知らない誰かの名前が呼ばれると…拍手をしたのかさえ定かではなく…思い返すと自分の行動に自信が持てない。
両手いっぱいの花束と盾を抱えて準グランプリが頭を下げる。
そしてスポットライトは金色の盾に。
ドラムロールの中、司会女性の声が高らかに響いた。
「第54回 美容師コンテスト、カラーカット部門。
いよいよ発表です!
今年のグランプリは……」